提出前の第5章(98/12/19の仕事でした)


第5章 むすび

本研究では、恒等写像ニューラルネットを用いて顔画像の特徴量抽出を行い、

類似顔検出を行った。そのためにまず、特徴量抽出に用いるニューラルネット

の設定に関する実験を行い、登録顔リストFに適応したニューラルネットの生

成に成功した。

類似顔検出の実験について、入力顔画像に無作為に抽出したものを使用した

場合、期待した性能は得られなかった。その原因として、撮影条件の悪さが

ある。入力顔画像はさまざまな条件で撮影されることを考え、統一した撮影

条件が全くない。極端な照明の違いは大きく顔の特徴を変えることがある。

また、本手法では顔が「うつむく」、「上を向く」、「横を向く」などの向

きの揺れに弱いことがわかっていて、そういった画像も含まれていた。

そこで、極端に撮影条件の悪いもの、向きの揺れの大きいものを除外した入

力顔画像を使用したところ、良好な結果を得た。つまり、本手法では「口を

開ける」、「笑う」、「にらむ」といった顔の揺れには有効であることが確

認できた。

今後の課題として、撮影条件が性能評価に影響を与えたことから、入力顔画

像の正規化の手法の検討や、大規模な登録顔リストへの応用と、そのときの

特徴量抽出に用いるニューラルネットの設定の見つけかたの確立などを考えている。