幸せのレシピ 〜この映画は美しい

幸せのレシピ 特別版 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2008-10-08)
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マンハッタンで大人気のレストランの総料理長を務めるケイト。

なにもかも完璧主義者で、経営者からもセラピストに通うように命じられるほど。

彼女の幸せになるためのレシピを見つけるまでの、悲しくも美しい物語。



この映画、とても深い。僕が今年見る中で一番良いかもしれない。

そう思わせるほど、非の打ち所がない。



まず、映像。非常に美しい。「幸せのレシピ」というタイトルだけに料理がストーリーに入り込んでいるが、その料理がとてもおいしそうに見える。

すべてのカット割りやカメラワークが違和感なく、すっと入り込める。




そして、本編にちりばめられた音楽たち。本編の邪魔をせず、とてもおしゃれ。久しぶりにサントラが欲しくなった。

映画「幸せのレシピ」オリジナル・サウンドトラック



ストーリーにも無駄がない。

ケイトの姉が事故に遭い、姪を引き取ることになるのだが、並の映画だと交通事故のシーンを見せる。この映画中、交通事故だとは一言も言わない、映像もない。だけど、なんとなくわかる。

キタノ監督も黒澤明監督との対談で話していたが、最近の映画は説明が多すぎるのだ。想像力をかき立てられない。この映画では、ケイトの心情を最低限度の映像で、観客に想像させる。

そうすることで、観客はケイトになりきれる。特に、完璧主義者で人付き合いが苦手だという人は、ケイトの言動に目を背けずにはいられない。



監督は誰かな?と思ったら、スコット・ヒックス。映画「シャイン」の監督さんらしい。良い映画でないはずがない。