幸せのレシピ 〜この映画は美しい
幸せのレシピ 特別版 [DVD]
posted with amazlet at 09.04.07
マンハッタンで大人気のレストランの総料理長を務めるケイト。
なにもかも完璧主義者で、経営者からもセラピストに通うように命じられるほど。
彼女の幸せになるためのレシピを見つけるまでの、悲しくも美しい物語。
この映画、とても深い。僕が今年見る中で一番良いかもしれない。
そう思わせるほど、非の打ち所がない。
まず、映像。非常に美しい。「幸せのレシピ」というタイトルだけに料理がストーリーに入り込んでいるが、その料理がとてもおいしそうに見える。
すべてのカット割りやカメラワークが違和感なく、すっと入り込める。
そして、本編にちりばめられた音楽たち。本編の邪魔をせず、とてもおしゃれ。久しぶりにサントラが欲しくなった。
映画「幸せのレシピ」オリジナル・サウンドトラック
ストーリーにも無駄がない。
ケイトの姉が事故に遭い、姪を引き取ることになるのだが、並の映画だと交通事故のシーンを見せる。この映画中、交通事故だとは一言も言わない、映像もない。だけど、なんとなくわかる。
キタノ監督も黒澤明監督との対談で話していたが、最近の映画は説明が多すぎるのだ。想像力をかき立てられない。この映画では、ケイトの心情を最低限度の映像で、観客に想像させる。
そうすることで、観客はケイトになりきれる。特に、完璧主義者で人付き合いが苦手だという人は、ケイトの言動に目を背けずにはいられない。
監督は誰かな?と思ったら、スコット・ヒックス。映画「シャイン」の監督さんらしい。良い映画でないはずがない。