そして殺人者は野に放たれる 〜読み進めるほどに怖くなる。

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)
日垣 隆
新潮社
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簡単に言ってしまうと、殺人を犯しているのに、精神鑑定により心神喪失と判定されると、刑が減軽されている今の実情を赤裸々に書いた本。読後の感想は、ただただ怖い。一個人として何もできないところが怖い。一刻も早く法改正をしてほしい。

そして、今現在は、陪審員制度により、改善されているだろうことを願います。

それにしても、これほど作者の熱のこもった本を読んだことがない。怒りと訴えが文章に込められている。また、これを世に送り出すことが正義を疑わない作者に本当に敬意を評したい。


ただ、最後のあとがきを読んで思ったのは、精神判定を行う先生は悪くないんだろう、悪気はないんだろうと思った。やっぱり悪いのは法律家で、精神判定の結果を何も考えず、利用しているのが問題に思えた。そして、やっぱり法律は日本人の手で改めて書き直されるべきだ。