続く・・・かもしれない


「雨か・・・」

僕は部屋に戻り、傘を手に取った。朝から雨が降っていることは久しぶりだ。

いつもより5分部屋を早く出た。おかげで駅までの道のりをゆっくり歩くことが出来る。

濡れている地面に足を取られないように、心なしか周りの人もゆっくり歩いているように思えた。

神戸では満員電車の中でも人との間に傘が触れない程度の隙間はできる。いつもなら小説か英語の新聞を取りだすところだが、両手をふさがれ、車窓から見える雨を眺めるしかなかった。

僕は雨が嫌いだった。けれど、何故か落ち着く。僕はイベントの度に雨が降るといわれる、自他共に認める雨男だった。逆に言うと、雨と楽しいことはいつもセットでやって来た。だから、なぜか嫌いだけれど落ち着くという不思議な気持ちになれるのかもしれないと、雨が降る海を眺めながら思った。そう、あの日も雨だった・・・