波の塔 〜純愛っていいな

波の塔―長編小説 (カッパ・ノベルス (11-3))
松本 清張
光文社
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新米検事の小野木、謎の女性、頼子とその旦那、お役人の娘とその友達。


なかなか絡みそうで、絡まなさそうで、小野木と頼子の純愛にわくわくしながら、そして寂しさを感じながら物語は進みます。


この微妙な展開を徐々に描きながらも、それでいてイライラしない描写は、せっかちな現代の推理小説にはない気がします。


3cmくらいの厚みのある分厚い本で、松本清張さんのことだから、途中から二人は死ぬんだと思っていました。しかし、なかなか死なない。

というか、なかなか関係性が見えてこない。しかし、ある時一気に、いろんな伏線が絡み出します。

思わずその話の持って行き方に「上手い!」と拍手したくなりました。


新作がなくても、たくさんある清張作品。今後も読み続けていきたいと思います。